【事業報告】日本語ボランティア講座《ブラッシュアップ》
ブラッシュアップ講座
中区で外国人の日本語学習をサポートしているボランティアのための研修講座を開催しました。今年度のテーマは「つながる」。日本語学習者とボランティアが、また学習者と生活している社会がうまくつながるために必要な日本語学習の方法を探って、4人の先生方に講義をお願いしました。
講座は4つのプランで構成され、受講者は自分のスケジュールやプラン内容への関心に合わせて、プランを選択して申し込めるようにしました。
プラン | 日・時 | テーマ・内容 | 講師 |
---|---|---|---|
フレッシュプラン (2日間) |
8/20(火)10:00~12:00 8/27(火)10:00~12:00 |
「はじめまして」から始まるコミュニケーション ~話し方の工夫、教材の工夫~ |
村上まさみ氏(早稲田大学日本語教育研究センター) |
ブラッシュアッププランⅠ (2日間) |
9/6(金)14:00~16:00 9/20(金)14:00~16:00 |
人とつながるためのリソース活用 ~『YOKE日本語教室教材例集』を使って~ |
矢部まゆみ氏(横浜国立大学留学生センター) |
ブラッシュアッププランⅡ | 9/27(金) 14:00~16:00 | コミュニケーションのために文法を見直そう | 野田尚史氏(国立国語研究所) |
ブラッシュアッププランⅢ | 10/4(金)14:00~16:00 | 発話を引き出すヒント ~OPIの視点を取り入れて~(OPI :Oral Proficiency Interview ) |
嶋田和子氏(アクラス日本語教育研究所) |
全6日間のうち、はじめの2回をフレッシュプランとし、比較的経験の浅いボランティアを対象に、学習者のニーズをいかに把握するか、また来たくなる教室にするための話し方や教材の工夫を、早稲田大学日本語教育センターの村上先生にわかりやすく説明していただきました。
次の2回は横浜国立大学留学生センターの矢部先生に、地域情報を盛り込んだ『YOKE日本語教室教材例集 話してみよう!わたしのこと 横浜のこと』の有効な活用法について話していただきました。この中で、受講者が教室活動で抱える具体的な問題にひとつひとつていねいなアドバイスをいただきました。
(『YOKE日本語教室教材例集』は公益財団法人横浜市国際交流協会のホームページからダウンロードできます。http://www.yoke.or.jp/8nihongo/8_3kyozaire_shu.html )
5日目は国立国語研究所の野田先生に、これまでの文法本位の教え方を根本的に見直し、学習者それぞれの日本語使用場面に合わせた文型・文法の導入について、例題を示しながら解説していただきました。日本語教科書の中から「使わないものは思い切って捨てる」という提起がありました。
6日目は、これまでにもなかラウンジの日本語講座を何度か担当していただいているアクラス日本語教育研究所の嶋田先生に、「発話を引き出すヒント」のテーマでOPI (oral proficiency interview)という会話能力テストの技法を取り入れて、いかに学習者の発話を促すかについて話していただきました。嶋田先生のエネルギッシュな講義で、受講者一同のやる気を倍増してもらい、本講座を締めくくっていただきました。
6日間を通し、日本語教育最前線の先生方にたいへんためになる、すぐに役立つお話をいただき、今後の地域の日本語教室の活性化に結び付いていくものと期待されます。後半、若干出席率が落ちましたが、アンケートの評価では毎回満足度100%で、講義がおもしろく充実した内容であったことが伺えます。
外国人のための日本語教室も、サポートするボランティア自らが研さんを積むことでますます楽しく効果的なものに生まれ変わっていくことと思います。本講座がそのための一助になることを願っています。